2011年12月13日火曜日

先行研究の大切さ~冬合宿での格闘~

お久しぶりです。
宅配便班の原です。

私たちはこれまでヤマト運輸・日本通運・佐川急便の3社の情報を
文献やインタビューを使ってひたすらに集めてきました。

そして、その情報から
3社のどういう部分が研究として面白いか
3社のモデリングの構造をどうやって説明しようか
そんなことを考える日々が続きましたが、
私たちにはその時間はありませんでした。

なぜなら、
11月下旬から12月上旬にかけて
他大学のゼミや同じ学部に属する他のゼミとの
インターゼミ(略してインゼミ)が3つ
そういった全体的なゼミ活動もある中で、
卒業論文の中間発表となる冬合宿(12911)
の発表準備に励まなくてはならなかったからです。

私たちはとにかく冬合宿で何としても一歩前進したい!
ということで、2点に注意して進めました。
1点目は誰のための論文にするのかを決める
2点目は今ある情報をしっかり整理することです。

1点目の誰のための論文にするのかを決めるというのは
どういうスタイルで書くか、という点に影響していきます。
もし学術的に貢献するものであれば、
今までの先行研究に何か新しい視点や理論を上乗せするタイプのものになります。
一方、実務者向けに書くのであれば、
よりビジネスマンが共感なり納得なりして頂けるようなタイプの描き方をする必要があります。
私たちは、今までのインタビューを活かしたい、恩返しがしたい!と思っていました。
そこで、インタビューに協力して頂いた方にもお見せできるよう、
後者の実務者向けにしようと決めました。

次に、2点目の今ある情報をしっかり整理することという点に関しては、
今まで調べた三社のビジネスの仕組みを分析するいくつかの枠組みの中から
自分たちが言いたいことが言いやすい分析枠組みに
当てはめてみることにしました。

枠組みの候補は
Business Model GenerationOsterwalder and Pigneur, 2010
P-VAR(井上,2010
・ホワイトスペース戦略(Johnson, 2011

その中で、私たちはP-VARを使って整理することにしました。
なぜ、P-VARか。
P-VARはポジション、価値、活動、資源という4つの項目に分けて、ビジネスモデルを体系的にまとめています。
それに加えて、それぞれの項目ごとにという考え方が含まれています。
観というのは、その企業がどんな信念を持って、
それぞれの項目を生み出したのかというものです。
この観を入れることで、
そのビジネスモデルを持つ企業の考え方まで分析に組み入れることができるのです。

私たちはこのP-VARを用いて3社の比較分析を試みました。
3社の宅配便事業はもちろん、
3社の生業(企業に根付く支配的な考え方)
のビジネスモデル(6パターン)を作ることで、
モデリングにおける自社からの模倣と他社からの模倣両方を
視覚的に分かるように描こうと考えました。

表にすると、こんな感じです。




これを元に
リサーチクエスチョンを
どのようにして企業は自社のビジネスシステムと他社のビジネスシステムを適合させ、
模倣に成功することができるのであろうかとしました。
そして上記の問いに対する答えとして、
(同国内、同業種内の模倣においては、)
他社の成功にすぐさま反応して模倣するのではなく、参入時期を遅らせて、
パイオニアと市場を観察したのちに参入する方が成功する
という仮説をたてました。
上記のリサーチクエスチョンとそれに対する仮説を、アウトラインに落とし込ました。
そしてこのアウトラインを元に資料を作成し、
私たちにとっての最後の合宿である、2011年の冬合宿にて発表することにしました。

しかし、その結果は惨敗でした

まず、仮説やリサーチクエスチョンに対する答えが
あいまいすぎて何を自分たちが伝えたいのかが明確でない、
ということを指摘して頂きました。

その上、模倣として判断する材料が少ないために
このまま模倣の研究として扱っていいのかどうかなど
再検討する必要が出てきました。

先生からのフィードバックで頂いた今後の方向性は3つです。
1.         現在、P-VARを使って提示している軸をもっと詳細に描き、そこから生業との距離(どれくらい生業のビジネスモデルと異なっているか)を測ることで、模倣の成否を判断する論文(インタビューの実現可能性が低い場合)
2.         冬合宿で発表したように3社の成り立ちなどについて詳しく述べ、分厚い記述を行う論文(今まで行ったインタビューなどを盛り込んで)
3.         日本通運の失敗と佐川急便の成功を模倣の理論で説明する(今後、詳しく自社を知る人物にインタビューが行えた場合)

私たちは冬合宿までに多くの方の協力を借りて、
インタビューの回数を重ねていたものの、
模倣という観点に落とし込むレベルまでは出来ていませんでした。
なので、インタビューの必要な2,3よりは1の方向で考えた方がいいのでは?
という結論に達しました。

そこから、私たちは2週間ほど、
各社のビジネスモデルをより詳細に描き出そうということでもう一度、
先ほど提示したBusiness Model Generationやホワイトスペース戦略を参考にしました。
それらを元に、企業のビジネスモデルの中でも、
「収益活動」に焦点をあてて、その部分を詳細に描くことにしました。
今までは顧客や価値に対する活動を一つ二つの項目で描いていましたが、
その項目数を固定費”“変動費”“コストカット中心の考え(コストドリブン)か投資中心の考え(バリュードリブン)という風に分けました。

そして、ヤマト運輸と佐川急便の宅配便事業・ヤマト運輸と日本通運の宅配便事業
をそれぞれ比較したうえで、収益活動の一致率をみます。
そして、そこからその理由が佐川急便と日本通運の生業に違いがあるからなのでは
という仮説を立て、新たな方向性に進もう!ということを考えました。

うまくこれらの軸を使って3社を面白く描きだせるのか、
卒業論文完成への道のりはまだまだ続きますが、
引き続き、女二人で突き進みます!!



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