2011年12月23日金曜日

佐川急便へのインタビューからの気付き

みなさま、こんにちは。井上ゼミ、宅配便班うらたです!
冬合宿も終わり、いよいよ、研究も大詰め。
そんな中・・・・いよいよ行ってまいりました!
佐川急便東京本社の広報部の方へのインタビュー!



今回のインタビューの目的は、以下の3点です。(前回のブログのおさらい)
1.佐川急便の生業、宅配便事業の仕組みの妥当性を確認すること、
2.佐川急便が仕組みを変えていったプロセスを具体的に聞くこと、
3.佐川急便が宅配便事業参入にあたって、それまで宅配便事業にあまりうまくいかなかった企業を意識・参照していたかどうかを聞くこと

本社の周りには大きなトラックが行きかう広い道路があり、
数多くの倉庫が立ち並んでいました。
“この辺りが東京のあらゆる会社の物流網として機能しているのだなぁ”
と実感した私たちは、いよいよ本社の中へ。
作業着を着た社員の方々が、
すれ違うたびに威勢よくあいさつしてくださる社内の雰囲気はとても明るかったです。

インタビューでは、
佐川急便がそれまで行ってきたビジネスや、重要にしている精神など
さまざまなことをお話頂きました。

中でも印象深かった内容は、
「なぜ佐川急便は、他社が続々参入する時期に宅配便事業に参入することはなかったのか」ということについて。
一般的に考えて、拡大する市場にうまみを感じて、
「自らも乗り出そう!」としてしまうのは、当たり前のように感じます。
佐川が、そうしなかった理由は何なのか、
私たちがこれまでずっと疑問に思っていたことです。
私たちのこの問いかけに対しての佐川急便広報部の方の答えは以下のようなものでした。

個人の方を見ていないということではないんですが、われわれとしては事業の主体はあくまで”fromB”が軸足だと、やはりいろんな議論をする中で、最終的にはそこに落ち着きますよね。
fromB=企業から荷物を集めて行う配送サービスのことを表します。

私たちは、ここから大きな気付きを得ました。
佐川急便は、他社を見る中でも、成功したヤマトを見て模倣した、というよりも、
他社に左右されず、「自社の軸足・あるべき姿」をぶらすことがなかった!
ということです。

いい気付きなのですが・・・
これまでは、佐川はヤマトをどのように模倣して成功したのか?という問いをもって
研究を進めてきたので、正直戸惑いました。

不安のままに迎えてしまった、23日の研究室での井上先生への相談・・・
他班が論文の“アウトライン”を提出している中で、
私たちは論文の流れなどまったく決まらず、
ただただ大量のデータ、定性資料だけを持って、当日の相談に挑みました。

素直に、上記の気付き、そして研究の方向性に迷っている旨を先生にお話しました。
すると井上先生はこうおっしゃいました。

「佐川急便は、“あえて”模倣しなかったんじゃないか?」

他の他社が成功者であるヤマトを見て当たり前のように模倣をしていたのに対し、
佐川はその中でも自社の軸足をぶらすことなく、
自らの全うすべきビジネスを貫いていたのだということです。

たしかに、目先の利益などにとらわれず、
自社のあるべき姿を理解し、貫くことができていたのは、素晴らしいことですよね。

「でもなんで、佐川だけが自社の軸足をぶらさなかったんだろうね。」
この先生からの問いかけに対して、
私たちの中でインタビューで聞いたある言葉が思い浮かびました。

東京佐川急便事件が起こった当時、社会をいろいろとにぎわす半面、現場ではね、お客さまが離れなかったんですよ。やっぱりお客さまからは、経営陣が悪いことをしたのであって、ドライバーのKくんは悪くないよね、ということで逆に応援して貰いました。そういうのは各地であったというのは聞いていますよね。大きな社会問題を起こして莫大な借金を背負ったのですけど、そこで業績を落とすことなく逆に利益を出して借金を返して行けたのですよね。それはやはりドライバーがしっかりとお客さまとコミュニケーションをとって、しっかりサービスして、信頼をして頂いていた、そういう一つの証なのではないかという風に思っています。

そうです、佐川急便は、大きな事件を起こし、
会社全体を巻き込むような危機の中で、自らにとって重要な顧客について、
そして現場のサービスの重要性について再認識することができていたのです。
この大きな危機の中で自社の重要な部分について再認識し、
理解することができたからこそ、他社から左右されることがなかったと言えるのではないだろうか!??

この佐川からの気づきを生かして、
私たちは論文全体のストーリーを「生業からの距離」という枠にとらわれず、
構成しなおすことにしました。

この日、研究室で提案して頂いたストーリーの流れを
ざっくり伝えると以下のようになります。

成功者(宅配便の場合はヤマト運輸)の模倣は連鎖して起こる。
その連鎖にのっかってしまった日通。
しかし、佐川は連鎖に乗らず、独自の道を貫いた。
佐川は、他社を見て行動したというよりも、目の前のことを一歩ずつ行ったにすぎなかった。なぜ佐川だけ、このような行動を取ることができたのか。
佐川は、会社全体を巻き込む事件のときに、自社のあるべき姿を再認識することができたから。


次回の相談は26日!
上記のストーリーの流れで、パワーポイントを作成し、
研究室で先生や院生の皆さまの前で、プレゼンテーションを行うことになりました!
どっきどき・・・26日に向けて、クリスマスも返上して、頑張ります!!!


追伸:
佐川急便広報部の方から、インタビュー終了後、素敵な品を頂戴しました。
佐川のルーツである祇園にまつわるグッズ。
そして、「はこぶくん」というキャラクター。
こちらがお世話になったにも関わらず、このようなお気遣いまで頂き、
本当に感謝でいっぱいです。
改めて、有難うございました。





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