2011年12月31日土曜日

年内最後の研究室相談!~アウトライン完成の巻~

世間はめっきりお休みモードですが、
私たち宅配便班の生活パターンは終電で帰宅、翌日は朝から大学へ
といういつも通りのパターンです。
どうも、お久しぶりです。宅配便班の原です。

年末、私たちゼミ生は23,27,28日と
研究室にて先生との相談を重ねると言う怒涛の相談週間をこなしております。
(年末にも関わらず指導して下さる先生や院生には感謝してもしきれません!)

そんな中、私たちの班は28日の相談で
ボロボロなプレゼンテーションを披露してしまったことにより
「主軸となるストーリーラインを5スライドで」との指示が下り、
その日は24時間開設している大学のパソコンルーム(22号館)で
深夜まで作業を続けたことで、先生から「5スライドOKです」
とのお言葉を頂くことができたわけです。(前回のブログを参照くださいね!)

そこで、私たちは次なるステップである
「アウトラインを作成する」という作業を始めました。

先生からOKを頂いた5スライドの流れをもとに肉付けするという形で作業を進めようと、お互いにアウトラインを書き始めたわけですが…しかし、このアウトラインを作成するという作業。言いたいことの流れをパワーポイントでまとめているのだから、すぐに出来るだろう!と、考えていましたが…
そんな浅はかな思いを持っていた私は愚かでした。

アウトラインというのは、ただ論文の流れを書けばいいというものではありません。
1段落の中で伝えたい内容を一文でまとめ、整理していかなければならないのです。
また、本当に伝えたいことを的確に伝えている言葉の選択ができているのか、
言葉の定義は統一されているかなど、論文を書く基礎となるわけですから、
実はなかなか手強いものなのです。

さらに私たちの班は大きな課題にぶつかりました。
それは「先行研究が曖昧」であるということです。
私たちはフィールドワークや公刊資料、新聞や雑誌記事など、
まずひたすらに事例ベースで宅配便業界を調べ、面白い現象を探してきました。
そのため、学術的にどういった視点でこの事例を説明することが
現象をさらに面白く見せることに繋がるのかというプロセスを後回しにしていました。
そのせいで、いざアウトラインを書こうと思っても、
「先行研究から導いた問題意識」がなかなかうまく作成することができなかったのです。

さらに学術論文においては「新規性」も求められます。
自分たちの研究が先行研究よりどういった部分で新しいことを述べているのか、
ここのレベルにまで達すると、やはり学部生の私たちには限界があります。
そのため、30日にある研究室での相談で、先行研究を相談することにして、
とにかく5スライドの流れで事例ケースの部分を
しっかりアウトラインにしていくことにしました。

私たちはケース部分を描く際に
まず、自分たちの言葉でケースを描いていき、骨組みを作りました。
そして、今までのインタビューを文字に起こした文章や雑誌記事を見返し、
その骨組みを支える証としてインタビューや雑誌記事で得た内容を組み込んでいきました。

この作業は定性研究において、有意義なステップであったなと振り返ると思います。
特にグループで書くときには。
後々、メンバーのそれぞれがケースを描く時にぶれずに書けるようになるからです。
私たちはケース部分を1日、導入や考察などを半日で書き上げ、
そこからお互いが書いてきたアウトラインの中で
いい表現だった箇所を統合しながら完成させていきました。

そして、2011年最後の相談日を迎えました。
研究室でアウトラインを読んで頂いた結果、
ケースの描き方に関しては細かい注意に留まり、
やはり先行研究が問題点としてあがりました。

私たちは先生や院生に日本通運と佐川急便について描ききれなかった情報を
盛り込みつつ、ケースの説明をしました。

その情報から先生や院生は
「○○という理論で説明できるかな」
「△△というレンズでもできそうだけど、日本通運は当てはまらないなー」
と、学術的なアプローチをたくさん提示して下さいました。

そして、先生のパソコンを使いながら、
アウトラインを1から作成する作業が始まったのです。
導入部分を作成し、さらに先行研究部分も先生や院生のお力を借りて、
ある程度の形にまで仕上げることができました。

この日で整理した私たちの先行研究は以下の通りです。
・情報の連鎖
・経験学習

まず、“情報の連鎖”というのは、
主に経済学の分野で盛んに議論されており、

自分が持っている私的情報に関心を払うよりも、周りの人の行動を真似することが合理的に思えることによって生じる現象(Bikhchandani et al. 1992)』のことを言います。

宅配便事業は、ヤマト運輸が市場を開拓した後、同業他社が35社参入します。
しかも、そのサービス名は「クロネコヤマトの宅急便」になぞらえて、
動物名をモチーフにしたものばかりでした。
(詳しくは最初のブログを参照してくださいね!)
この情報の連鎖の中で、企業はどのような行動を採るのか…
先行研究では数多くの議論が重ねられているわけです。

そして、この情報の連鎖は「他社(他者)の行動を観察」して起こる現象です。
このように他社を観察し学習することを『代理学習(Bandura 1969; 1977)』といいます。
さらに、この代理学習は『間接経験からの学習』とも言われています。
どういうことかというと、“経験学習”という分野においても
他社の行動を観察し、学びを得る現象を説明できるのです。

“経験学習”の中でも最も基本的な経験の特徴として
Levitt and March (1988)は、
組織が直接的に知識を得ることを『直接経験からの学習』、
他の組織から間接的に知識を得ることを『間接経験からの学習』
という分類で整理しています。

さらに経験の成果の良し悪しに焦点を当てた分類として
“成功”と“失敗”という軸があります。
(e.g., Baum and Dahlin 2007; Greve 2003; Miner et al. 1999; Sitkin 1992)
中でも、この成功と失敗という分類での研究では、
成功経験と失敗経験のどちらが学習において効果的なのかという議論が主となっています。

日本通運と佐川急便はそれぞれ
“ヤマト運輸の宅配便事業”という他社の成功経験から学習をしています。
同様の間接経験から各社、どのようなことを学習したのか、
はたまたその学習のプロセスによってどういった違いが生まれたのか
という視点から事例を見ていこうということになりました。

アウトラインを研究室で完成させた私たちはさっそく執筆活動に移るわけですが…
さらに先生はその過程に入る前に必須アイテムを与えてくださいました。

それは“モデル論文”です。

モデル論文とは、自分たちが論文を書くスタイルのお手本論文です。
論文というのは、定性研究と定量研究によってそれぞれ構成が異なります。
定性論文の中でも先行研究の記述が分厚いものやケースの記述が分厚いものなど
本当に多様なのです。
私たちの論文は、定性的な事例研究であり、
中でも2社の比較ケース、そしてインタビュー記事を盛り込みながら
分厚く記述することになります。

先生は数多くの書籍の中から沼上・浅羽・新宅・網倉の書いた
『対話としての競争 ―電卓産業における競争行動の再解釈―』を提示して下さいました。
この論文は電卓産業の中でもシャープとカシオを取り上げており、
それぞれの企業の役員の方々からのインタビューをそのまま盛り込んで記述されています。

宅配便市場を取り上げ、
さらに日本通運と佐川急便の比較ケースという意味でも
今回の研究にぴったりなモデル論文をいただくことができました。

今回の相談を通して、
アウトラインとモデル論文を手に入れた私たちは
年末から年始に向けて、論文執筆の段階へと進むことができそうです!




追伸:
今年は多くの人の繋がりに助けられ、素敵な一年を送ることができました!
(先生や院生、先輩、同期はもちろん、インタビューにご協力頂いた多くの方々)

出会った全ての人に感謝して、年越しを迎えようと思います。
今年一年、本当にお世話になりました。
良いお年を!!


2011年12月28日水曜日

プレゼンテーションの敗北、そして論文メッセージの明確化

みなさま、こんにちは。
前回に引き続き、本日のブログは、うらたが担当致します。
最近は、かなりのハイペースで卒論を進めております。
毎日が、相方原さんとの青春です。()

前回のブログでは、佐川急便へのインタビューでの気付き、
そしてその後の研究室での相談について報告させて頂きました。
研究室相談にて、論文全体のストーリーがある程度固まったので、
26日の研究室相談までに論文の流れを、パワーポイントで作成することにしました。

というのも・・・前回の研究室相談時に、
「私たち、文章書くの苦手なんです!」と先生に弱音を吐いた際、
「2人とも、プレゼンテーションはそこそこ得意なんだし、
次回研究室でプレゼンテーションをしてもらって、
その様子を録音して、その録音データを文字に起こしたら文章になるんちゃう?」
という、井上先生からの一言がきっかけでした。

井上先生いわく、実際に自分の講演やプレゼンテーションを録音してから、
論文を書く著名な方はいらっしゃるようです。
このことを聞いて、「私たちにも論文が書ける!」と、
少々気楽に考え、26日に向けて早速プレゼンテーションの準備をはじめました。

実際に作成してみると、とても難しい。
導入に用いている先行研究の部分や、今回扱う宅配便の事業の仕組みの説明など、
意外に盛り込まなければならない要素が多いのです。
結果、スライド40枚にも渡る資料が完成しました。

そして・・・・・・
実際にプレゼンテーションを行ってみると、なんと、総時間45分。

ゼミの発表のときのプレゼンテーションでさえ、
長くて30分だというのに、それを15分も上回る程の量なのです。
「久しぶりのプレゼンテーション♪」なんて、
楽しんでいた私たちでしたが、これによって急に不安が押し寄せてきました。

またしても、不安を抱えながら挑んだ、26日の研究室。

早速、私たちは先生、院生を前に、プレゼンテーションを行いました。

総時間、40分。

これほどまでに、長く、
話してて辛い気持ちになったプレゼンテーションは初めてでした。

そして、発表が終わって、井上先生が一言。

「一言二人に伝えるとしたら、このストーリーで言いたいこと、スライド5枚でまとめなさいっていうことやな。何を伝えたいのかが分からない。」

・・・私たちの40分間の挑戦は、この一言によりあっけなく敗北しました。

そのあと、われわれの敗北の原因に関していくつかコメント頂きました。
その中でも大きなポイントとして、3点紹介します。
(論文やプレゼンテーションを行う際に必要な考え方、
注意すべきポイントにも触れますよ!)

(1)先行研究がケースの内容と繋がらない
私たちは、「模倣」や「同質的行動」に関する先行研究をあさって、
きっちりとレビューをして、今回の資料を作成したつもりでした。
しかし、現状の“単なる情報の羅列”にすぎないレビューでは、
読者(プレゼンテーションだと聞き手)に問題意識を植え付けることができない
ということでした。
本来、先行研究のレビューを通して、読者に問題意識を植え付け、
ケースを読む前に理論のレンズを埋め込んでおく必要があるのです。
ケースで言うメッセージを意識して、先行研究の情報を選び、
上手く並び替える作業が必要だということになりました。

(2)ケースの記述が淡々としており、長い
私たちのプレゼンテーションにおいては、
ヤマト運輸・日本通運・佐川急便という3社それぞれの仕組みを紹介しました。
それぞれの経営資源や、収益構造などを同じレベルで説明しました。
ですが、井上先生から、日本通運・佐川急便の2社に
焦点をあてるべきだということを指摘して頂きました。

ヤマト運輸の仕組みに関しては、
すでに小倉昌男氏の『経営学』(日経BP社)にてしっかりと説明してあります。
あくまでも私たちは、ヤマト運輸の仕組みの説明をしたいのではなく、
日本通運と佐川急便の2社が、ヤマトを見てどのような仕組みを作り上げていったのか
に着目したいという目的がありました。
だから、全ての仕組みを詳細に記述するのではなく、
2社の仕組みの模倣を説明する上で必要となる部分のみを抽出して
説明すべきだということに気付くことができました。

全ての情報が大事だと思い、多くの情報を盛り込みがちですが、
論文やプレゼンテーションのストーリーに必要ではない情報は、
そぎ落とす努力をしなければならないということですね!

(3)全体の構成を通して、問いが深まっていかない
上で述べた点を注意する前に…
私たちのストレートなメッセージは何なのかを考える必要がありました。
全体を通しての“問い”が何であるのかをシャープにすること、
そしてその“問い”をケースを通して深めていく作業が必要だ
というコメントを頂きました。

問いを深めるというと、NHKのドキュメンタリーなんかが参考になるとのこと。
一つのテーマに対して、「身近な問い」を投げて、具体的にケースを見ていく。
そのあと、ケースを見て浮かび上がってきた新たな問いを投げて、視聴者の関心を引く。
そして、ケースの更に深い分析に繋げていく。
このような全体像を思い浮かべて、全体のケースを構成しなおすことが大事なのです。


私たちは、敗北した悔しさを旨に、
早稲田生ならば誰しもが利用したことがある、22号館PCルームに向かいました。
そして、先生から頂いたアドバイス通り、
ストーリーで言いたいことをスライド5枚でまとめるという作業に移りました。

上記のコメント・アドバイスを意識しながら、
私たちのケースをいきいきと描けるようなストーリーを構成していきました。

気がつけば、深夜1時。完成しました。
(※完成した深夜1時には、当然二人の終電はありません。
完成したのち、インタビューの録音データの文字起こしを行ったこともいい思い出です。笑)

そして明朝。

井上先生から、「5スライドのメッセージ、OKです!」の返信がありました!!!

敗北のあとの、合格の言葉は嬉しさがひとしおです!!
とりあえず一安心です。

とはいえ、次の課題は、先行研究、理論的なレンズをどう盛り込むか
という難題になりそうです。
年末、もう一度研究室に相談に伺うチャンスが残されているので、
それまでもうひと踏ん張りです!


2011年12月23日金曜日

佐川急便へのインタビューからの気付き

みなさま、こんにちは。井上ゼミ、宅配便班うらたです!
冬合宿も終わり、いよいよ、研究も大詰め。
そんな中・・・・いよいよ行ってまいりました!
佐川急便東京本社の広報部の方へのインタビュー!



今回のインタビューの目的は、以下の3点です。(前回のブログのおさらい)
1.佐川急便の生業、宅配便事業の仕組みの妥当性を確認すること、
2.佐川急便が仕組みを変えていったプロセスを具体的に聞くこと、
3.佐川急便が宅配便事業参入にあたって、それまで宅配便事業にあまりうまくいかなかった企業を意識・参照していたかどうかを聞くこと

本社の周りには大きなトラックが行きかう広い道路があり、
数多くの倉庫が立ち並んでいました。
“この辺りが東京のあらゆる会社の物流網として機能しているのだなぁ”
と実感した私たちは、いよいよ本社の中へ。
作業着を着た社員の方々が、
すれ違うたびに威勢よくあいさつしてくださる社内の雰囲気はとても明るかったです。

インタビューでは、
佐川急便がそれまで行ってきたビジネスや、重要にしている精神など
さまざまなことをお話頂きました。

中でも印象深かった内容は、
「なぜ佐川急便は、他社が続々参入する時期に宅配便事業に参入することはなかったのか」ということについて。
一般的に考えて、拡大する市場にうまみを感じて、
「自らも乗り出そう!」としてしまうのは、当たり前のように感じます。
佐川が、そうしなかった理由は何なのか、
私たちがこれまでずっと疑問に思っていたことです。
私たちのこの問いかけに対しての佐川急便広報部の方の答えは以下のようなものでした。

個人の方を見ていないということではないんですが、われわれとしては事業の主体はあくまで”fromB”が軸足だと、やはりいろんな議論をする中で、最終的にはそこに落ち着きますよね。
fromB=企業から荷物を集めて行う配送サービスのことを表します。

私たちは、ここから大きな気付きを得ました。
佐川急便は、他社を見る中でも、成功したヤマトを見て模倣した、というよりも、
他社に左右されず、「自社の軸足・あるべき姿」をぶらすことがなかった!
ということです。

いい気付きなのですが・・・
これまでは、佐川はヤマトをどのように模倣して成功したのか?という問いをもって
研究を進めてきたので、正直戸惑いました。

不安のままに迎えてしまった、23日の研究室での井上先生への相談・・・
他班が論文の“アウトライン”を提出している中で、
私たちは論文の流れなどまったく決まらず、
ただただ大量のデータ、定性資料だけを持って、当日の相談に挑みました。

素直に、上記の気付き、そして研究の方向性に迷っている旨を先生にお話しました。
すると井上先生はこうおっしゃいました。

「佐川急便は、“あえて”模倣しなかったんじゃないか?」

他の他社が成功者であるヤマトを見て当たり前のように模倣をしていたのに対し、
佐川はその中でも自社の軸足をぶらすことなく、
自らの全うすべきビジネスを貫いていたのだということです。

たしかに、目先の利益などにとらわれず、
自社のあるべき姿を理解し、貫くことができていたのは、素晴らしいことですよね。

「でもなんで、佐川だけが自社の軸足をぶらさなかったんだろうね。」
この先生からの問いかけに対して、
私たちの中でインタビューで聞いたある言葉が思い浮かびました。

東京佐川急便事件が起こった当時、社会をいろいろとにぎわす半面、現場ではね、お客さまが離れなかったんですよ。やっぱりお客さまからは、経営陣が悪いことをしたのであって、ドライバーのKくんは悪くないよね、ということで逆に応援して貰いました。そういうのは各地であったというのは聞いていますよね。大きな社会問題を起こして莫大な借金を背負ったのですけど、そこで業績を落とすことなく逆に利益を出して借金を返して行けたのですよね。それはやはりドライバーがしっかりとお客さまとコミュニケーションをとって、しっかりサービスして、信頼をして頂いていた、そういう一つの証なのではないかという風に思っています。

そうです、佐川急便は、大きな事件を起こし、
会社全体を巻き込むような危機の中で、自らにとって重要な顧客について、
そして現場のサービスの重要性について再認識することができていたのです。
この大きな危機の中で自社の重要な部分について再認識し、
理解することができたからこそ、他社から左右されることがなかったと言えるのではないだろうか!??

この佐川からの気づきを生かして、
私たちは論文全体のストーリーを「生業からの距離」という枠にとらわれず、
構成しなおすことにしました。

この日、研究室で提案して頂いたストーリーの流れを
ざっくり伝えると以下のようになります。

成功者(宅配便の場合はヤマト運輸)の模倣は連鎖して起こる。
その連鎖にのっかってしまった日通。
しかし、佐川は連鎖に乗らず、独自の道を貫いた。
佐川は、他社を見て行動したというよりも、目の前のことを一歩ずつ行ったにすぎなかった。なぜ佐川だけ、このような行動を取ることができたのか。
佐川は、会社全体を巻き込む事件のときに、自社のあるべき姿を再認識することができたから。


次回の相談は26日!
上記のストーリーの流れで、パワーポイントを作成し、
研究室で先生や院生の皆さまの前で、プレゼンテーションを行うことになりました!
どっきどき・・・26日に向けて、クリスマスも返上して、頑張ります!!!


追伸:
佐川急便広報部の方から、インタビュー終了後、素敵な品を頂戴しました。
佐川のルーツである祇園にまつわるグッズ。
そして、「はこぶくん」というキャラクター。
こちらがお世話になったにも関わらず、このようなお気遣いまで頂き、
本当に感謝でいっぱいです。
改めて、有難うございました。





2011年12月16日金曜日

念願の佐川急便へのインタビュー!!~調査実現までの軌跡~

みなさん、こんにちは!
もう、気付けば2011年、12月も後半・・・
ついこの前、12月に入ったような気がしていたのに、2012年までもうすぐ!
なんていう、この時間の速さにただただ焦る毎日です!
(卒論期限もピンチ!!!)

宅配便班、浦田です。

前回の記事では、「3社の収益活動」を比較する、という流れ、
各社の「生業」に着目しよう、ということを考えていましたよね。

これまでのインタビュー、また、雑誌記事などの情報からも
各社の収益活動の違いは少しずつ見えてきました。

とはいえ、この私たちの考えた収益活動は妥当なのか
そしてそもそも、佐川急便は、本当に模倣しているのか
佐川急便がどんなことを考えて宅配便事業に参入したのか
実際競合他社とどの程度意識していたのか
などという点について、雑誌記事などでは見えてこない情報を
インタビューによって収拾したい、とずっと思って来たんです。

これまで、ヤマト運輸の方、日本通運の方には直接お話を聞くことができたのですが、
佐川急便の方に、宅配便事業参入時のお話を聞く機会を作れずにいました。

もう時は12月、正直例年の卒論では、
インタビューに行くには遅すぎる時期ですが、
このまま卒論を終えるのは悔しい!出来るところまでやってみたい!と思い、
一か八か、私たちは佐川急便の本社へ、調査のお願いを申し出ることにしました。

実は、企業に「調査依頼書」を書くなんてことは初めてだった私たち。
井上先生や院生の皆さま、また同期がかつて書いた依頼書を貰い、
それらのお手本を見よう見まねで、なんとか依頼書を書きあげました。





そして、少しでも、私たちの気持ちが伝わるようにと考え、
このワードを基に依頼書を「手書き」で作成しました。
(昔、書道を7年ほどやっていたことが活かせたかもしれません。笑)
さらには、このために、便箋、ペンを新調致しました。

そして、京都の本社に依頼書を送付させて頂いた3日後
なんと、東京本社の方からメールで返信があったのです!!!

ヒアリングの件ですが、よろしければ私の方でお話させて頂ければと考えております


・・・・こんな、学生の研究に、会社として向き合って下さる、ということに、
私たち宅配便班は感無量でした。念願がかないました!!!


「このチャンス、もう無いかもしれないんだから、しっかり準備しないとね」
という同期の一声を受けて、
質問票を事前に作成し、ゼミ生や先生からアドバイスを頂こうと考えました。

まず、インタビューの目的は3つ。
1.佐川急便の生業、宅配便事業の仕組みの妥当性を確認すること
2.佐川急便が仕組みを変えていったプロセスを具体的に聞くこと
3.佐川急便が宅配便事業参入にあたって、それまで宅配便事業にあまりうまくいかなかった企業を意識・参照していたかどうかを聞くこと

・なんでも聞きすぎると、本当に聞きたいことを深く聞けずにインタビューが終わってしまうこと
・情報やこちらの考えを出し過ぎて、誘導尋問になってはいけないということ

インタビューでは、この二点に留意しなければなりません。

どこまで情報を出すのか、どういう順番で聞いていけば効果的か、
何度もゼミ生、先生にアドバイスを頂き、試行錯誤していきました。

はじめは、佐川急便の行うビジネスの話から入ろうと考えていましたが・・・
それに対して、井上先生から、
「インタビューに行くにあたり、まったく勉強していないと思われるような質問はしてはいけない。」というフィードバックを頂きました。
そこから、インタビューの際、ゼロから聞き出すのではなく、
私たちの考えている佐川のビジネスモデルについて先に提示し、
その土台に対して佐川側のご意見を言って頂くという形式にしようと考えました。

また、インタビューによく行っているガウディア班の佐藤からは、
「インタビューの相手自身の経験から話を拡げられると、とてもリアルな話を聞かせて貰えると思うよ。」とのコメントを頂いたので、
インタビューの流れの中に、相手の方の経験を聞く質問をいくつか取り入れました。

そして!いよいよ、明日、インタビュー当日です。

緊張するけど、楽しみ!どんな情報が聞けるんだろう・・・
イメージトレーニングをしなければ!


ということで、以上、インタビュー実現までの私たちの軌跡、お伝えさせて頂きました。(研究内容に関する記述が少なすぎたかもしれないですね。)
内容については、インタビューの結果をもって、後日ご報告させて頂きますね。

では、みなさん、また!!


2011年12月13日火曜日

先行研究の大切さ~冬合宿での格闘~

お久しぶりです。
宅配便班の原です。

私たちはこれまでヤマト運輸・日本通運・佐川急便の3社の情報を
文献やインタビューを使ってひたすらに集めてきました。

そして、その情報から
3社のどういう部分が研究として面白いか
3社のモデリングの構造をどうやって説明しようか
そんなことを考える日々が続きましたが、
私たちにはその時間はありませんでした。

なぜなら、
11月下旬から12月上旬にかけて
他大学のゼミや同じ学部に属する他のゼミとの
インターゼミ(略してインゼミ)が3つ
そういった全体的なゼミ活動もある中で、
卒業論文の中間発表となる冬合宿(12911)
の発表準備に励まなくてはならなかったからです。

私たちはとにかく冬合宿で何としても一歩前進したい!
ということで、2点に注意して進めました。
1点目は誰のための論文にするのかを決める
2点目は今ある情報をしっかり整理することです。

1点目の誰のための論文にするのかを決めるというのは
どういうスタイルで書くか、という点に影響していきます。
もし学術的に貢献するものであれば、
今までの先行研究に何か新しい視点や理論を上乗せするタイプのものになります。
一方、実務者向けに書くのであれば、
よりビジネスマンが共感なり納得なりして頂けるようなタイプの描き方をする必要があります。
私たちは、今までのインタビューを活かしたい、恩返しがしたい!と思っていました。
そこで、インタビューに協力して頂いた方にもお見せできるよう、
後者の実務者向けにしようと決めました。

次に、2点目の今ある情報をしっかり整理することという点に関しては、
今まで調べた三社のビジネスの仕組みを分析するいくつかの枠組みの中から
自分たちが言いたいことが言いやすい分析枠組みに
当てはめてみることにしました。

枠組みの候補は
Business Model GenerationOsterwalder and Pigneur, 2010
P-VAR(井上,2010
・ホワイトスペース戦略(Johnson, 2011

その中で、私たちはP-VARを使って整理することにしました。
なぜ、P-VARか。
P-VARはポジション、価値、活動、資源という4つの項目に分けて、ビジネスモデルを体系的にまとめています。
それに加えて、それぞれの項目ごとにという考え方が含まれています。
観というのは、その企業がどんな信念を持って、
それぞれの項目を生み出したのかというものです。
この観を入れることで、
そのビジネスモデルを持つ企業の考え方まで分析に組み入れることができるのです。

私たちはこのP-VARを用いて3社の比較分析を試みました。
3社の宅配便事業はもちろん、
3社の生業(企業に根付く支配的な考え方)
のビジネスモデル(6パターン)を作ることで、
モデリングにおける自社からの模倣と他社からの模倣両方を
視覚的に分かるように描こうと考えました。

表にすると、こんな感じです。




これを元に
リサーチクエスチョンを
どのようにして企業は自社のビジネスシステムと他社のビジネスシステムを適合させ、
模倣に成功することができるのであろうかとしました。
そして上記の問いに対する答えとして、
(同国内、同業種内の模倣においては、)
他社の成功にすぐさま反応して模倣するのではなく、参入時期を遅らせて、
パイオニアと市場を観察したのちに参入する方が成功する
という仮説をたてました。
上記のリサーチクエスチョンとそれに対する仮説を、アウトラインに落とし込ました。
そしてこのアウトラインを元に資料を作成し、
私たちにとっての最後の合宿である、2011年の冬合宿にて発表することにしました。

しかし、その結果は惨敗でした

まず、仮説やリサーチクエスチョンに対する答えが
あいまいすぎて何を自分たちが伝えたいのかが明確でない、
ということを指摘して頂きました。

その上、模倣として判断する材料が少ないために
このまま模倣の研究として扱っていいのかどうかなど
再検討する必要が出てきました。

先生からのフィードバックで頂いた今後の方向性は3つです。
1.         現在、P-VARを使って提示している軸をもっと詳細に描き、そこから生業との距離(どれくらい生業のビジネスモデルと異なっているか)を測ることで、模倣の成否を判断する論文(インタビューの実現可能性が低い場合)
2.         冬合宿で発表したように3社の成り立ちなどについて詳しく述べ、分厚い記述を行う論文(今まで行ったインタビューなどを盛り込んで)
3.         日本通運の失敗と佐川急便の成功を模倣の理論で説明する(今後、詳しく自社を知る人物にインタビューが行えた場合)

私たちは冬合宿までに多くの方の協力を借りて、
インタビューの回数を重ねていたものの、
模倣という観点に落とし込むレベルまでは出来ていませんでした。
なので、インタビューの必要な2,3よりは1の方向で考えた方がいいのでは?
という結論に達しました。

そこから、私たちは2週間ほど、
各社のビジネスモデルをより詳細に描き出そうということでもう一度、
先ほど提示したBusiness Model Generationやホワイトスペース戦略を参考にしました。
それらを元に、企業のビジネスモデルの中でも、
「収益活動」に焦点をあてて、その部分を詳細に描くことにしました。
今までは顧客や価値に対する活動を一つ二つの項目で描いていましたが、
その項目数を固定費”“変動費”“コストカット中心の考え(コストドリブン)か投資中心の考え(バリュードリブン)という風に分けました。

そして、ヤマト運輸と佐川急便の宅配便事業・ヤマト運輸と日本通運の宅配便事業
をそれぞれ比較したうえで、収益活動の一致率をみます。
そして、そこからその理由が佐川急便と日本通運の生業に違いがあるからなのでは
という仮説を立て、新たな方向性に進もう!ということを考えました。

うまくこれらの軸を使って3社を面白く描きだせるのか、
卒業論文完成への道のりはまだまだ続きますが、
引き続き、女二人で突き進みます!!